はじめに

近年、新型コロナウイルスの影響で注目が集まる感染症対策ですが、毎年流行するインフルエンザについても十分な備えが必要です。
今年(2024年)は特にインフルエンザA型が大流行しており、例年よりも早い段階での予防や対応が求められています。本稿では、インフルエンザの基礎知識、予防法、治療薬について詳しく解説します。

1. インフルエンザとは

インフルエンザは、インフルエンザウイルスが引き起こす急性呼吸器感染症です。一般的な風邪に比べて全身症状が強いことが特徴です。

主な症状

  • 突然の高熱(38℃以上)
  • 頭痛、筋肉痛、関節痛
  • 倦怠感や寒気
  • 咳、鼻水、喉の痛み

流行の特徴

日本では11月下旬~翌年3月に患者が増加し、4~5月に減少します。しかし、近年では夏季に発生する例も報告されています。


2. 感染経路

1. 飛沫感染

感染者のくしゃみや咳で飛び散る飛沫を吸い込むことで感染します。

2. 接触感染

感染者が触れた物(ドアノブやつり革など)を介して、ウイルスが手を通じて体内に侵入します。


3. 予防法

インフルエンザは予防が重要です。以下の方法を心掛けましょう。

1. ワクチン接種

  • 効果:感染リスク軽減(発症予防効果は50%程度)や重症化の防止。
  • 接種時期:流行期の前(10月~11月頃)。
  • 接種回数
    • 6か月~13歳未満:2回接種(2~4週間間隔)。
    • 13歳以上:1回接種。

2. 基本的な感染対策

  • 外出後の手洗い・うがい
  • マスク着用や咳エチケットの徹底。
  • 不要不急の人混みを避ける。

4. 治療について

1. 抗インフルエンザ薬

発症後48時間以内の服用が重要です。以下の薬が一般的に使用されます。

薬剤名投与経路特徴
タミフル経口最も使用実績が多い。副作用として嘔気・嘔吐が報告される。
リレンザ吸入吸入式でB型インフルエンザに高い効果。気管支喘息患者には注意。
イナビル吸入1回の吸入で治療が完結。吸入が困難な患者には適さない。
ゾフルーザ経口1回の服用で治療完結。耐性株の問題が指摘されている。
ラピアクタ静注重症例や経口摂取が困難な患者に使用。

2. 対症療法

  • 水分補給で脱水を防止。
  • 解熱鎮痛剤の使用(医師の指導下で)。

5. 出席停止期間

子どもの場合

「発症後5日を経過し、解熱後2日を経過するまで」とされています。

大人の場合

発症後3~7日は外出を控えましょう。


6. インフルエンザとCOVID-19の同時流行への備え

インフルエンザとCOVID-19は、症状が似ているため診断が困難な場合があります。以下の点に注意しましょう。

  • 早期受診:正確な診断を受けるために、発熱や咳が見られたら早めに受診しましょう。
  • 家庭内での隔離:家族への感染を防ぐため、感染者を別室で休ませることが重要です。
  • 職場での配慮:症状がある場合、出勤を控え、休暇を取得してください。

7. まとめ

インフルエンザは予防と早期治療が重要です。

  • 予防:流行期前のワクチン接種と日常的な感染対策。
  • 治療:発症後は48時間以内に抗インフルエンザ薬を服用。
  • 受診:症状が重い場合は早めに医療機関を受診してください。

当院では、症状に合わせた治療を提供しています。お気軽にご相談ください。


【参考文献】

  • 厚生労働省「インフルエンザ対策」
  • 国立感染症研究所「感染症疫学センター」
  • 一般社団法人日本感染症学会