室温と高血圧の関係
家庭血圧に影響を与える要因として、外気温だけでなく室温の重要性が指摘されている。2025年に報告された静岡スタディでは、家庭内の室温と、朝・夕・睡眠中の血圧との関連が大規模サンプルで検討された。
1. 室温低下と血圧上昇
室温が1℃低下するごとに、家庭で測定された血圧は以下のように上昇した。
- 朝の収縮期血圧:+0.86 mmHg
- 朝の拡張期血圧:+0.34 mmHg
- 夕方の収縮期血圧:+0.72 mmHg
- 夕方の拡張期血圧:+0.32 mmHg
いずれも統計学的に有意であり、室温が朝夕の血圧に明確な影響を与えることが示された。
2. 睡眠中血圧への影響は軽度
睡眠中の血圧に関しては、室温との関連は小さかった。
- 収縮期血圧:+0.08 mmHg(有意差なし)
- 拡張期血圧:+0.08 mmHg(弱い関連)
覚醒時の血圧と比較すると、睡眠中は温度変化に対する反応性が低いと考えられる。
3. 外気温とは独立した影響
外気温を共変量として調整した解析でも、朝の血圧と室温の関連は保持されており、室温が独立した血圧変動因子として作用する可能性が示された。
4. 年齢による影響の違い
年齢が上昇するほど、室温低下に対する血圧の上昇幅が大きくなる傾向が認められた。高齢者では血管の温度反応性が変化することが影響していると考えられる。
5. 寒冷日に一時的な高血圧を示す例
普段は正常血圧でも、最も室温が低い日に高血圧域に到達するケースが確認されており、研究では約20%が該当した。冬季の家庭血圧には季節変動が存在することが示唆される。
まとめ
- 室温は家庭血圧に対して独立した影響を持つ。
- 朝・夕の血圧は室温低下の影響を受けやすい。
- 睡眠中の血圧は影響が小さい。
- 高齢者で室温の影響が大きい傾向がある。
- 家庭血圧の解釈には、室温条件を考慮することが重要である。
出典
Tabara Y, Kusida O, Ozaki E, Kuriyama N, Urano T.
Effects of room temperature on home morning, evening, and sleep blood pressure: the Shizuoka study.